自治体トップによるハラスメントやその疑惑が次々と明らかになっています。連日報道がある兵庫県知事がパワハラの疑いなどで告発された問題で、兵庫県議会の各会派は、19日の議会初日に知事に対する不信任決議案を可決させたいとして、対応を協議することとしており一連の問題はヤマ場を迎えます。
1.ハラスメント防止条例
兵庫県でおこった今回の問題を受け、自治体職員らに対する上司や議員からのハラスメント防止へ向けて、条例制定の動きが各地で広がりを見せています。開会中の奈良市議会の9月定例会でも、市に「ハラスメント防止条例」の制定を促す意見が相次いではいます。しかし市長は、「現行制度整っている」と、慎重姿勢であり、条例制定に向けた動きは見えてきません。
2.暴走する首長
兵庫県知事によるパワハラ問題が批判を浴びていることから、多方面から取材が行われており、新聞では連日関連する報道を目にします。


9月13日朝日新聞朝刊9面「耕論」へは、「暴走する首長」のタイトルで、多くの自治体で首長の言動や振る舞いが問題視される特集記事が掲載され、「何が首長を暴走させるのか?」「『暴君』にさせないために必要なこととは?」などについて、専門家や首長経験者の意見が掲載されています。
3.預かった権力 市民のもの
前尼崎市長の稲村和美氏は、兵庫県尼崎市長を3期12年務められました。市長として預かった権力の大きさについて実感された経験談をもとに、預かった権力は市民のために使うべき!と提唱されています。
※朝日新聞9月13日 9面

稲村元市長は奈良市出身です。奈良県立奈良高校から神戸大学に進学されています。
記事によると、首長は「暴君」や「裸の王様」になりかねない危うさと背中合わせ!と問題提起されています。そのうえで稲村氏は、「『選挙で選ばれたのだから』という自負はあったし、首長には絶対に必要!」とされたうえで、「『でもそれは市民のものである市のお金や権限を預けてもらっている』という責任を果たすための自負でなければならない!」とのべられています。ホントにそう思います。経験者の言葉はとても重いです。さらに、与えられた権力と、まわりの職員との関係により、首長の立場が勘違いしやすい環境であることも問題視されています。でも稲村氏は公権力を適切に使うことの難しさがある中でも、大変さを上回るやりがいについてをコメントされています。
本当にわかりやすく、説得力のある言葉です。私はこの記事を読んで、「ぜひ、この記事を奈良市民と奈良市の職員さんに読んで欲しい」と思いました。
一番説得力があると思ったのは、「長くやればそれだけ『市長の意向』を汲み取って動く職員が増える。私にはいい顔をしても下の者には全く違う態度をとる職員もいた。私が3期で退いたのは、そうした環境への慣れやある種の『おごり』が自分にあると感じた…」この言葉です。素晴らしい判断であったと思います。
首長と議会の力関係を研究しておりますので文献調査は行っています。今回の新聞記事は、今後執筆する論文の「参考文献」にさせていただきます。ありがとうございました。