奈良市の財政問題を考える(環境政策編)
今回は、議会への報告・説明もなく1.5億円もの多額の予算を流用で財源処置し、進められる「奈良市本庁舎『ZEB化』改修事業」について、どのような事業で、なにが問題なのかについて、なるべく丁寧に説明したいと思います。
1.「ZEB化」とは⁈
「ZEB」は、Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で「ゼブ」と呼んでいます。建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことです。省エネによって使うエネルギー削減し、創エネによって使う分のエネルギーをつくることで、エネルギー消費量を正味(ネット)でゼロにすることができる、省エネ施設を備えた建築物で、事業へは地域脱炭素移行・再エネ推進交付金が交付されます。
2.何が問題?
交付金もありエコな建築物に改修できるのであれば、なんの問題もないはず。ではなぜ奈良市では議会から問題の声があがるのか? 大きく分けて3つあると考えます。
①設計費不足分約1億6000万円は予算流用
令和5年度のZEB化に係る経費は設計費2714万円でしたが、設計に先立ち「ZEB可能性診断調査」が必要と、事業進捗の中で判明し、市は1064万円をその費用に充てました。その結果、設計費が1億7500万円あまり必要とされ、不足分1億6000万円を予算流用して調達しています。1億円を大きく超える予算流用にも関わらず、議会への説明も報告もありませんでした。
※奈良新聞令和6年8月7日

②事業費20億超え!市負担額回収に30年
ZEB可能性診断調査によって、市の事業はZEB Readyとランク付けされ、事業費には20億円必要と判明しました。市は、事業費20億円の事業を、議会になんの説明もせず進めていたことが明らかになっています。なぜ議会に報告もせず、予算流用により事業を進めたのか?誰の判断なのか? 今後、議会で厳しい追求があると思われます。
※ 奈良新聞令和6年7月18日

③耐震化に30億超。当初の維持計画まであと27年
奈良市に本庁は、令和2年度に30億円以上をかけ耐震化を終えています。令和33年度(2051年度)まで、あと27年間本庁舎を維持する計画ですが、事業費回収はに30年…これは説明が付きません。

3.今後どうなる?
我々自民党と公明党は、2会派連名で「ZEB化事業の中止」を市に申し入れしました。(※ 奈良新聞令和6年8月7日)
議会に説明もなく、約1億6000万円を予算流用によって予算処置した設計業務は今年度すでに進められており、一刻も早い業務中止が必要と判断したことによるものです。
未だ市からその後の説明などはありありませんが、今後の議会で確認し、続編でお伝えして行く考えです。続編の(その2)では、本庁舎移転建替か?耐震化?の議論を振り返り、当時の市の説明資料を提示しながら問題を明確にしていきます。
市民目線で市民の立場に寄り添って、歪んでしまった現在の奈良市に行政運営をただしてまいります。
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